アメリカ東海岸、ボストンの南ケープコッドのさらに南にある小さな島、ナンタケット島。
メルヴィルの名作小説「白鯨」の舞台にもなり、実際に19世紀中頃までは捕鯨で栄えていたことで名を馳せていましたが、現在は避暑地として世界には名高い島となりました。
「ナンタケットバスケット」はこの島でつくられている伝統工芸品です。
ナンタケットバスケットの正式名称は、「ナンタケット・ライトシップ・バスケット (Nantucket Lightship Baskets )」。捕鯨船で鯨の油を入れるための樽の周理に等を編んでいったものが、ナンタケットバスケットの始まりと言われており、そのためバスケットにしては陳しく底板が付いています。
きめ細やかな編み目と美しいフォルムが特徴的で、「世界一美しいカゴ」と称されています。
普通ならカジュアルな印象のあるバスケットですが、ナンタケットバスケットはフォーマルな席でも持つことの許される唯一のバスケットで、エリザベス女王に献上されたこともあり、またホワイトハウスのクリスマスツリーに飾られたこともある、由緒正しき芸術品です。
ドレスや着物にも似合い、現在ではアメリカの人々だけでなく、世界各地で多くの人々の憧れとなっています。
モールドと呼ばれる木型を用い、トウや木材でできた奇数のステイブ、木製のベース、釘を打ちケーンを巻き付けたリム、ウィーバーで制作されます。
伝統的にオーク、マツ、セイヨウトネリコが使用されてきましたが、現代ではチェリー、メイプル、オーク、ウォルナット、エボニーなど多くのタイプが使用されます。
現代のライトシップ・バスケットでは1つの作品に複数のタイプの木材が使用されることもあります。
現在、日本でもこのナンタケットバスケットを作る教室ができています。
なかでも、ナンタケット島で認められた日本人初、そして唯一のバスケットメーカーである、八代江津子を代表とする「New England Nantucket Basket Association (日本ナンタケットバスケット協会)」では、ナンタケット島の気品と伝統を守りながら、正統なバスケットの制作指導する講師の育成をしており、協会の講師は確かな技術と指導により、生徒の皆さんが美しいナンタケットバスケットを作るお手伝いをしています。
クルミハウスでも、New England Nantucket Basket Associationで学び、ナンタケット島での研修を経て指導者の資格を取得した協会公認インストラクターが、丁寧に指導しています。
ナンタケットバスケット の大きさは様々で、2cmほどの極小さいミニチュアサイズのものから赤ちゃんが入るくらいの大きなゆりカゴまであります。
形も様々なため、用途に合わせていろいろな形が楽しめますよ。
自分で作ってみたいという方や、ナンタケットバスケット 初心者の方は、「キャンディバスケット」という卓上の小物入れをお勧めしています。